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Q&A 骨折・麻痺のチェック



骨折・麻痺のチェック法
Q. 友人の患者は骨転移の場所が広がっているにも関わらず、痛みがないので、その場合の骨折麻痺チェック方法は?(パンフ以外に)
A. 骨折リスクについては、講演の中でミレルズスコア(Mirel’s score)を紹介しました。麻痺のリスク評価法は確立されていません。無症状の方に、いきなり麻痺が襲ってくる訳ではありません。麻痺に至るには、それなりの大きさになるまで背骨の転移が成長する時間経過があります。痛みを自覚されているのに我慢できるから放っておいたとか、骨転移による麻痺の知識が全くない方が、受診が遅れ、麻痺に至っています。無症状のときには、麻痺のリスクは遠い彼方にあります。

術後のフォローアップ
Q. 毎年検診を受けていたが、乳がんをとことん見落とされていた。手術後転院したが、転院先の病院も、前の病院の病理結果を見るだけ。触診も見ることすらなし。骨シンチもMRIもいまだになし。転移についても「見つかったら対処すればいい」ばかりで、早期発見や転移についても何も知る手段がありません。何を信用して何に気を付ければいいのでしょうか。
A. 拙著では、このような診療にありがちな場面でのアドバイスも書いています。誰かと一緒に受診する、看護師さんに相談してみる、医療相談室的な部署が病院に解説されていれば相談してみる、セカンドオピニオンを求めてみるなどでしょうか。骨転移の問題に限らず、主治医との関係性は難しい場合がたしかにあるのだと思います。私に回答できる範囲を少々越えてしまっております。高度医療、成果主義で医療が発達してきたよい側面と、見下す姿勢に気づきさえしなくなった医師を生んでいる側面があるのだと思います。

Q. 骨シンチやMRIを定期的に受診した方が良いか。
A. 冒頭の解説参照

Q. (2009年5月に発症、5月で5年経過)乳がん治療ステージUa、術前抗がん剤治療後手術(温存)。放射線治療の標準治療後、2度のリンパ節転移で、リンパ節郭清、その後またリンパ節再発で摘出手術しておりますが、骨転移の検査はいつ頃を目途にされますか。(乳がん患者・骨転移なし)
A. 病気の活動性は比較的高いと考えますので、すでにCTやPET検査などで骨転移の情報が得られている状況以外は、何らかの骨転移評価を考慮します。まず骨シンチで全身の骨で骨転移の疑われ部位を探し出して、レントゲンやMRIでさらに詳しく骨折や麻痺のリスク評価をしていきます。骨転移の診断には、あるかないかの有無の診断、部位の特定、骨折や麻痺のリスク診断と、段階をおって診断する要素が変わっていきます。これに応じて、検査法も使い分けています。詳述しきれませんが、この辺りは拙著にかなり詳しく解説しています。

Q. 昨年4月に手術後年に1回もう一方の乳房の検査だけすることになりました。腫瘍マーカーの検査が先にあればという話でしたので、この5月にマーカーの話をしてみようという気になりました。どう考えればよいのでしょうか?(再発後早くわかっても生存率は変わらない。症状が出てからでよいと言われました。)
A. 骨転移は生命と基本関わらない部分なので、たしかに生存率は変わらないでしょう。日々の生活の質に影響する部分です。腫瘍マーカーが使える方は、骨転移に限らず内臓の転移や再発などを血液検査で比較的簡便に情報を得ることができ、大きな恩恵を蒙っています。他の癌では、腫瘍マーカーがない領域も多々あり、それは大きな苦労を生じます。腫瘍マーカーはしてもらえるのなら是非お受けになって下さい。

Q. 現在、マーカーを調べる検査はしていませんが、定期的にした方がリスクは減らせるでしょうか?(年に1〜2度?とか、2年に1度とか?)(乳がん患者・骨転移なし)
A. 手術後かなりの年数が経ってらっしゃる方でしょうか。10年以上経過してから、骨転移が発生する場合がまれにあり、乳癌の専門医の間でも議論はされていますが、では全ての患者さんをいったいいつまで点検するのかという難しい問題にぶつかり、まだ結論に至っていない現状かと思います。
5年以内の方は、転移や再発の点検のため通院を続けられておくのが一般的です。また今日では、1つのがんが治っても2つ目、3つ目という方もおられます。そのとき、肺癌のように骨転移が先に見つかり(実際、骨折や麻痺で見つかる方もおられます)、原因を探っていくと肺癌が見つかったというケースもあるくらいですので、しつこい痛みがあれば乳癌治療後長い方でも一般の方でも骨転移というキーワードを思いつくかどうかが重要になってきます。お近くの整形外科医院では、あまり骨転移を意識されていないこともたしかにあるようですので、社会的認知度を上げる必要性を訴えている訳なのです。

Q. CEA,CA15-3の定期的なチェックの理想的なサイクルは?・・・主治医は「転移の早期発見はあまり意味が無い」という考えなので・・・(乳がん患者・骨転移なし)
A. 簡潔明瞭なお答えを期待されていると思われますが、様々な要素を加味して医学的に判断される問題です。

Q. 1年に一回検査をしていますが、基本は反対の乳房、肺のレントゲン、血液検査です。必ずCEA、CA15−3の検査は基本検査に含まれているのでしょうか?先生に言ってお願いした方が良いのですか?(乳がん患者・骨転移なし)
A. その疑問を担当医にぶつけて下さい。また検査の結果を見せてもらったり、説明を求めましょう。腫瘍マーカーが手術前に確かに上がっていた方なら、通常検査項目に含まれています。

Q. 腫瘍マーカーでチェックすることで大丈夫ですか?(乳がん患者・骨転移なし)
A. ガイドラインに沿った点検方法となります。腫瘍マーカーが使えない可能性がある方は、画像検査が少し多くなります。またご自身でも痛みなどの症状に注意をしておきます。

Q. 現在の標準治療・ガイドラインでは、再発・転移の早期発見は自覚症状発現後の治療開始と比べ、予後を改善しないとされているようで、初発術後の検査はしない方向になっているようですが、骨転移も痛み、骨折などの症状の発現前に見つけ、治療を開始する意味は本当にないのでしょうか。(乳がん患者・骨転移なし)
A. 市民感情として、分かっていながら積極的治療に進まない理由が受け入れがたいことは、私も十分に承知していますが、その通りなのです。前述していますが、ここに誤解が残ると骨転移をせっかく学んで頂いた意義が薄れてしまいます。なお、無症状ではゾメタもしくはランマークの治療が今日では普及しましたが、これも立派な治療です。

Q. 術後半年位の時、転んで左小指のつけ根部分を骨折、レントゲンを撮った時、偶然その部分に腫瘍があることが分かりました。骨折は治りましたが、腫瘍は「特に悪性でもないような気がする」とのことで、今後半年ごと、レントゲンで経過観察、という処置ですが、乳がんの骨転移とは全く関係ないのでしょうか?(乳腺科、整形の両先生とも、そんな所には転移しない、とおっしゃっていますが)このままにしておいて、大丈夫か心配なのです。(乳がん患者・骨転移なし)
A. がんナビの連載や拙著でも紹介しましたが、整形外科の中で腫瘍を専門領域にしている者は全国に数百人しかいません。実はこの指の骨腫瘍(話の内容では内軟骨腫かなと想像しますが)と骨転移の見分けの一例に限らず、骨転移か否かの判断が我々専門医でも難しい場面はがん病院では日常的に見られています。全国に整形外科医自体はたくさんいるのですが、がん診療連携拠点病院に指定されている病院に、全てとは言わないまでも、もう少し腫瘍整形外科医を増やしてもらいたいと個人的には感じています。なお指先への乳癌骨転移はきわめて稀です。

Q. 毎年一回骨シンチをやっている病院ですが、骨転移発見にはあまり有効ではないのですか?(乳がん)
A.  ガイドラインでは、定期的な骨シンチの「必要性は」否定されていますが、実施されていればかなり小さな骨転移も見つかる可能性があります。逆に欠点を指摘する立場になれば、比較的高価な検査で被曝も伴い、無条件で術後の定期検査に全員に実施してよいものかという批判にさらされることが想定されます。医療費にしても無尽蔵な訳ではありません。医療資源は限りのあるもので皆で共有するものとの考え方が、今日では広まっています。小さな骨転移をみつけるメリットだけでは論じられない部分です。

検査の副作用
Q. 腫瘍マーカーに全くでないタイプの乳がんです.MRIやPET検査を半年に一度ぐらい検査が良いとのことですが、被爆の問題は大丈夫ですか?1年に1度の方が良い?(乳がん患者・骨転移なし)
A. 私は妥当と考えます。全く腫瘍マーカーが使えない腎癌の方では、さらにPETも有効ではないのでCTを多用せざるを得ません。被曝は少ないに越したことはありませんが、不意に大きな骨転移や内臓への転移が生じる危険性と、被曝によるデメリットを天秤にかけるなら、検査しておくメリットが上回ると判断できるからです。腫瘍マーカーが使えず、画像検査も実施できないとなれば、体の中でがんが暴れていようと把握できず、患者さんの生命の安全も確保が難しくなることが予想されます。点検の間隔は個別の問題が含まれ、回答を控えたいと思います。

Q. 骨転移の検査では、まずレントゲン撮影をすると思いますが、何度もレントゲンを受けることに抵抗があります。無駄に被爆したくないと思うのですが、考えすぎでしょうか?(乳がん患者・骨転移なし)
A. 小児や妊娠中の方に対するレントゲンには、医療現場でも相当神経を使います。また放射線被曝に対して脆弱な基礎疾患をお持ちの方も同じですが、その他の方では過去の度重なるレントゲン撮影が問題となり健康被害が生じたケースは、私自身は見たり聞いたりしたものも含めて経験がありません。実際、癌治療後5年を経ていない方に骨転移が生じる頻度と、レントゲンのせいで(例えば)2つ目のがんが生じる確率を比較するなら、前者が圧倒的に高いことになります。副作用は文字通り「副」作用なので、主の作用、つまりこの場合は骨転移が判明するというメリットが上回ることが、長い医学の歴史の中で実績がつまれてきたからこそ、約100年前の発明が今日まで廃れることなくまず最初の検査に生き続けているのです。

骨転移の検査
Q. 昨年3月腫瘍マーカーが上り、骨シンチを撮り、右背中側第4肋骨に影があるといわれた。その後、半年ぐらいの間に、骨シンチを2回撮るが同じ、骨折のおぼえもない。腫瘍マーカーはすぐに正常にもどった為、様子を見ることになっている。この4月初めくらいから右背中、肩甲骨あたりが痛む。骨転移であるかどうかわかるのは、どんな検査があり、治療があるか知りたい。とくに確定診断はどのような検査があるか知りたい。
A.  とても奥の深いご質問です。骨転移診療の真髄に触れる内容かもしれません。とてもここでは解説しきれず、私が強い熱意で伝えたいと思ったことを、拙著に記しています。このようなご質問にきちんとお答えするには、私の心底に触れ頂くしかありません。

Q.  骨密度の低下は骨転移のいい目安になりますか。
A.  骨密度の低下とは本質的に異なるものです。似たご質問はよく受けるのですが、骨転移の検査に骨密度を利用するという考え方はありません。

診断の信頼性
Q.  知人が卵巣がん、大腸がんの手術後、背骨の痛みを訴えて近くの整形を受診。問題なしといわれ、その後骨転移とわかりました。レントゲン画像ではすぐに見つけにくいのでしょうか。
A.  検査は人間が考え出したものです。ある大きさにならないと、画像に映ってきませんし、画像をみて判断する医者も、あまりに小さいと病変があると認識するには至りません。骨転移と判明した後に、振り返って2-3ヶ月前の写真を見直せばそこに小さな変化が見られて、結果的に骨転移の初期の所見だったということは、しばしばあると思います。初期のものを見つけることは、どんな疾患でも難しい。人間が考え出した検査には、必ず限界と落とし穴があり、そこを経験的にカバーしていくところに医師の仕事の職人的な部分が残されています。ただ何度も強調していますように、ことさら小さな病変を見つけることに重要な意義がないのが骨転移です。加えてもう一つの問題が、診察室で交わされるコミュニケーションで真意が伝わっていないことがときどきおこることです。例えば担当医が、「今日のレントゲン上は明らかな骨転移の所見は認められません。」と患者さんに説明したとしても、「問題なし」と伝わってしまうことがしばしばあります。医師は「問題なし」と太鼓判を押す言葉遣いを安易には発しないものです。「現時点では認められない(継続して経過観察が必要)。」の意図でお伝えすると、「あのとき問題ないと言った」と伝わることがよくあります。一方、「骨転移があるかもしれませんが...」などと灰色の言葉を残す説明をする医師もいるかと思いますが、こちらはいたずらに不安を引き起こす欠点があります。初期病変の発見は誰しも難しいこととコミュニケーションの問題を感じさせるご質問です。

Q.  骨転移の見きわめ、診断は,まぎらわしいことがしばしばあるのでしょうか。(乳がん)
A.  優先的に診断すべき要素は、まず今にも骨折しそう、麻痺しそうな明らかな骨転移を見落とさないことです。あるのかないのか、という存在自体の診断は緊急性を要さず、引き続き点検を継続するスタンスで臨むようにしています。

Q.  骨シンチだけで骨転移の有無が分かりますか。(患者・骨転移なし)
A.  医師はさまざまな情報から的確な診断と治療方針を導き出していて、骨シンチは重要な骨転移の検査ですが、これのみで判断が簡単にできてしまうと、私たちの仕事がなくなってしまいます。

Q.  画像上ではしこりか骨かの判断は難しいですか。(患者・骨転移なし)
A.  同上

主治医への話し方
Q.  腫瘍マーカーに変化がないので、どう主治医に骨シンチ検査を依頼すればよいか?(患者・骨転移なし)
A.  前述あり。骨転移の心配が、いつのまにやら骨シンチの不安に置き換わってしまっています。腫瘍マーカーが使える方なら、安定していれば当面不要かと思われます。
Q.  骨以外に転移後の再発治療中、腰痛などの症状があると、骨転移ではないかと不安になります。主治医にどのように伝え、検査をしてもらえばよいでしょうか。検査の頻度等アドバイスお願いします。(乳がん患者・骨転移なし)
A.  本質的に、前質問と同様です。また冒頭の解説も参照下さい。
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