上部の目次から項目をお選びください。

「N・SAS-BC01臨床試験とイデアフォー−患者主体の臨床試験のあり方を求めて−」


N・SAS-BC01臨床試験とイデアフォー


−患者主体の臨床試験のあり方を求めて−


浅野 泰世


 



 イデアフォーは1997年11月から1999年11月まで2年にわたり、N・SAS-BC01臨床試験の中止を求める活動を行いました。今年3月、その結果がJournal of Clinical Oncology(American Society of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会:ASCO)の学会誌)で公表されました。同時に患者向けがん専門誌『がんサポート』3月号に、関連記事が掲載されましたが、その内容はイデアフォーの活動を正確に伝えていません。しかし、この記事だけを読みイデアフォーの活動を知らない読者は、患者が臨床試験に声を上げることが、医学の進歩の足を引っ張ることになると思ってしまわないでしょうか。イデアフォーは、患者が臨床試験を正しく理解し、参加の可否を自分で判断できるよう、また正しい臨床試験かどうかを患者が審査する力を持てるよう願って活動していました。それが、医学の進歩につながると考えたからです。N・SAS-BC01臨床試験の中止を求めたのは、そのような活動の中で、この臨床試験の正当性に対する疑問を、消し去ることが出来なかったからです。
 わたしたちは自分たちの活動を明らかにしておく必要があると感じました。活動の実際は、この臨床試験の研究責任者と厚生省及び実施施設の倫理委員会に向けた質問状と要望書の送付が中心で、幸いこれらの文書は全て残されています。紙面の都合上要約を記載しますが、ホームページに原文を公開する予定です。(注1)

N・SAS-BC01臨床試験
 N・SAS-BC01は、腋窩リンパ節陰性high-riskの乳がん患者を、経口のフッ化ピリミジン系薬剤のUFT単剤療法と、シクロフォスファミド(C)+メトトレキサート(M)+フルオロウラシル(F)3剤併用CMF療法に無作為に割付け、術後補助療法で比べる臨床試験です。
 主要評価項目は無病生存率(DFS)、副次的評価項目は生存率(OS)、副作用、QOL、直接医療費で、UFT療法がCMF療法に比べ劣っているかどうか(非劣性)を調べることが目的です。1996年10月14日から登録を開始し、当初3年間で各群650症例、合計で1300症例の登録を目指しました。
 平成7年、8年度は厚生省(当時)の研究事業として、厚生省の研究班(抗がん剤市販後研究班)に属する乳がん術後補助療法研究委員会(委員長:渡辺亨、国立がんセンター中央病院内科医長当時)として開始され、平成9年度以降は大鵬薬品工業株式会社(UFTの発売元)が依頼する受託研究として実施されました。
 
N・SAS-BC01臨床試験の中止を求める活動
 イデアフォーが行なった反対活動は、@渡辺亨医師に「腋窩リンパ節転移陰性high-risk症例を対象としたUFTとCMFに関する術後補助療法無作為化比較試験」に関する質問を送付、A厚生省医薬安全局長 中西明典氏に、「N・SAS-BC01臨床試験に関する質問及び要望書」を送付、B渡辺亨医師をはじめとするN・SAS-BC01の研究者とのミーティング、C国立がんセンター倫理委員長と臨床試験実施施設の倫理委員会に「N・SAS-BC01 臨床試験中止のお願い」を送付、D国立がんセンター倫理委員に、「渡辺医師とのミーティングの報告」を送付、E渡辺医師へ「N・SAS-BC01臨床試験説明同意文書改訂版について」を送付、F英国医学雑誌『ランセット』に「UFT/CMF」臨床試験の中止を求める活動を報告するレターを投稿、GN・SAS-BC01の症例集積期間終了を機に国立がんセンター渡辺亨氏に「質問状」送付です。

@「腋窩リンパ節転移陰性high-risk症例を対象としたUFTとCMFに関する術後補助療法無作為化比較試験」に関する質問(渡辺亨医師宛、1997.12.02)(4)
UFTが「日本で一般的に使われているからといって、欧米ですでに標準治療として確立しているCMFと比較することは正当化できない。」として、以下の5つの質問をしました。
 Q1、このような臨床試験を実施する根拠として、初回治療でUFTがCMFより有効の可能性があるという論文があるべき。
 Q2、UFTは「副作用が軽い」とはどういう意味か、副作用は患者によって受け止め方が違う、治療をする側の基準で「軽い、重い」を判断すべきではない。2年間のみ続ける蓄積毒性が、後遺症につながるほうを問題視する患者もいるはず。
 Q3、CMF療法に比較してUFT療法の無再発生存率が約7.5%低い場合まで臨床的に同等と考えられるという結果がえられた」とあるが、これでは無治療より0.5%低くても同等と考えることになるが、この理解は間違いか?
 Q4、マイナス7.5%という数字を出すに当たって、臨床家にアンケートをとったとあるが、どんな内容で、どんな方々に尋ねたのか?
Q5、厚生省と製薬会社の市販後試験に協力するために、患者が費用を負担するのはおかしいと思わないか?


A「N・SAS-BC01臨床試験に関する質問及び要望書」(厚生省医薬安全局長 中西明典氏宛、1997.12.05)(5)
 1、UFTを、欧米ですでに標準治療として確立しているCMFと比較することは正当化できない。
 ・初回治療でUFTがCMFより有効の可能性があるという論文があるべき
 ・無いとすれば、「医師の経験と勘に基づく仮説」のもとに臨床試験を行っていることになる。
 2、この臨床試験はUFTの延命策
 3、厚生省と製薬会社の市販後試験に協力するために、患者が費用を負担するのはおかしい。
 4、臨床試験の各段階に患者・医療消費者を参加させるシステム作りを早急に始めることを要望。
 5、患者・医療消費者が「どんな治験、臨床試験がどの施設で行われているか」すぐにわかり、チェックできるシステムつくりを要望。

BN・SAS-BC01の研究者とのミーティングでの渡辺医亨師の説明(渡辺亨医師が準備された説明資料より、1997.12.23)
 イデアフォーが送付した渡辺亨医師への質問状に対して、イデアフォーと渡辺医師等研究者との間で、ミーティングが行われました。ミーティングには、渡辺医師作成の説明・回答文書が用意されていました。

 ・がん化学療法は決して完成されたものではなく、進歩のためには「臨床試験」による客観的なデータの蓄積が重要である。「一般臨床」と「臨床試験」の区別は、従来たいへんあいまいにされてきたが、この二つをきっちりと区別してとらえることにより、「科学的なevidence」に裏打ちされたものとそうでないものを区別し、必要とされる課題について「臨床試験」によるevidenceの蓄積をめざしている。従来わが国で行なわれてきた臨床試験は結果の信頼性が低かったが、プロトコールの作成、インフォームドコンセントの手順の義務化、データマネージメントシステムの整備など国際ハーモナイゼーション会議で合意された臨床試験の実施基準(ICH-GCP)に則って臨床試験を実施することが「倫理と科学」を全うするために不可欠であり、そのための「ガイドライン」を作成し、正しい臨床試験のあり方を確立することが「抗がん剤市販後研究班」が設立された理由のひとつである。
 ・従来、抗がん剤の承認審査は他の医薬品と異なり、臨床第U相試験までの試験成績に基づいて行なわれ、延命効果やQOLの改善などを含めた総合的な有用性を検証するための臨床第V相試験は市販後に行われることになっている。1991年2月に定められた「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン」では、この第V相試験が求められているが、それ以前に承認された抗がん剤では、必ずしも質の高いevidenceがえられていない。しかし、(UFTには)長年蓄積された臨床での使用経験や小規模臨床試験の結果の中には有用性を示唆するデータもあり、全く無効と決め付けるわけにも行かない。
 ・CMFは国際的に評価された乳がん術後補助療法であるが、日本では1996年5月までメトトレキサートが乳がんで承認されていなかったため、十分な使用経験がない。
 ・UFTも、欧米で長年標準的治療法として位置づけられてきたCMFも正しい使用法が我が国に浸透しない限り有効であるとは言い切れない。

以下は、イデアフォーの質問に対して示された渡辺医師による回答です。
Q1の回答
 日本で行なわれた臨床第U相試験では、UFTとCMFで同程度の腫瘍縮小効果が認められている。補助療法の無作為化比較試験では、MMC(マイトマイシン)+TAMとMMC+TAM+Tegafur(UFTの類薬)で、Tegafurを追加することにより無病生存期間の有意な延長が見られている。このような成績から、術後補助療法におけるCMFとUFTの有用性の比較が必要である。
Q2の回答
 副作用には検査値など誰が見ても重篤度が判定できる、医師が客観的に評価する項目と、患者の主観的な訴えに基づき評価する項目がある。臨床第U相試験での副作用の発現状況から、消化器症状、脱毛、白血球減少などは、UFTの方が頻度が少ないと報告されているが、それが果たして本当か比較試験で答えが出るはずである。副作用が軽いと決め付けているわけではない、今までに報告されなかった有害事象が明らかになる可能性もあるので比較試験は必要。がん化学療法で時間がたってから現れる副作用は、きちんとした追跡システムが無ければ把握することは出来ないが、N・SAS-BC01は、1300人もの試験参加患者を10年間追跡する我が国で始めての臨床試験であり、実際に晩期副作用などの実態を明らかにしてゆくことにより、総合的な治療方法の有用性が評価できる。
Q3の回答
 これは、試験実施の患者数算定の根拠であり、治療法の有用性判断の根拠ではない。採用した7.5%という数字は、これを下回る可能性が少しでもあるようなら、UFTを使用すべきでないという範囲の下限である。治療効果を生存率で表すと、何時の時点での生存率かで結果が違ってしまうので、これを単位時間当たりのUFTのCMFに対するハザード比で現す。7.5%下回る値をハザード比で現すと1.3となり、75%無再発生存に対して69%を想定することになる。無治療(67%)と大差が無いようであるが、これは許容できる上限である。試験の結果求められたハザード比は、バラツキを考慮して信頼区間というものを計算する。つまり、本当のハザード比がその中に入る確立が、95%となるような区間を設定すれば、まず、この中に真の値があると思ってよい。この区間の上限が1.3より小さいとき、UFTはCMFに比べ劣っていないと判断する。ちなみに、このときのサンプルのハザード比の推定値は、1.027以上、5年無再発生存率は、74.4%以上になっている。
Q4の回答
 試験に参加する医師87名(筆者注、論文では78名となっていた)にアンケート調査で、CMFと無治療の5年生存率が75%と67%であることを示し、UFTを使う5年生存率の差を尋ねている。
Q5の回答
 医薬品の「市販後調査」について説明し、医薬品の市販後調査の基準(GPCSP)が1997年より法制化され、市販後臨床試験については、GCPに則って行なうことになった。市販された薬剤についても行政監視が行き届いている事実を認識し、この制度が形骸化しないよう実践してゆくことが重要である。市販後の薬剤の安全性、有効性の評価まで全て製薬企業が治療費を負担することは論理的な矛盾が生じるし、公的資金で全て行うということになれば、莫大な税金を支払わなければならないことになり、非現実的な話になる。

このミーティングで、プロトコール参考文献にある「CMFのような多剤併用療法が標準治療法として世界中の専門家のコンセンサスを得ている」という情報等が患者の説明同意書に書かれていないと言うイデアフォーの指摘に対して、渡辺医師は「説明同意書」を改訂すると明言されました。

C「N・SAS-BC01 臨床試験中止のお願い」(国立がんセンター倫理委員長垣添忠生氏と臨床試験実施施設の倫理委員会宛、1997.12.23) (7)
  「単剤投与(ユーエフティー等)ではなく、多剤併用療法(CMF等)が、現時点では標準的治療法として世界中の専門家による合意が得られているという情報が患者に提供されていない。」「この問題一つでも、試験を中止するにたる。」として、倫理委員会での再審査を求めた。

D「渡辺医師とのミーティングの報告」(国立がんセンター倫理委員会委員と臨床試験実施病院倫理委員会宛、1998.01.07)  (8)
 渡辺医師等と行なわれたミーティングで、説明同意文書を改訂することを約束されたが、この臨床試験には、ユーエフティーの無再発生存率が7.5%低い(無治療群と0.5%しか差がない)場合までCMFと同等と判定するという不公平な組み立てとなっている、ユーエフティーにはCMFと比較試験を行なうことを正当化出来るだけの臨床的なデータがないなどの問題があり、疑問は解けなかったとして改めて試験中止を要望。

E「N・SAS-BC01臨床試験説明同意文書改訂版について」(渡辺亨医師宛、1998.11.21) (9)
  説明同意文書改訂版の送付をたびたびお願いしたが、いまだに返事がない。幸いなことに、イデアフォーに送付くださった方があり、内容をチェックできた。しかし、改訂を求めたところは何一つ変わっていない。
 ・改訂前と同様、UFTとCMFが同等の効果があるように、UFTが臨床試験の結果、予防効果があることが分かったかのように書かれているが、プロトコールの参考文献には、エビデンスとなるようなデータは見つからなかった。UFTは当時の甘い新薬承認基準のために許可された薬で、CMFと比較できるだけの科学的なデータがない。そして、何よりも、多剤併用療法CMFが標準治療として世界中の専門家の合意を得ているという重要な情報が、今回もまた提供されていない。
 ・根拠の無い治療法UFTを根拠のある治療法CMFと同等のものと錯覚させ、このような形で参加を求めることに怒りを禁じえない。

F英国医学雑誌『ランセット』に『日本の臨床試験に関する患者の懸念』(「UFT/CMF」臨床試験に 反対する活動を報告したレター)を投稿、掲載された。(1999.03.20)、渡辺亨医師の反論も同時掲載された。    
・多剤併用のCMFが「世界的な標準治療」であり、単剤のUFTにはその効果がCMFと同じくらいだということを示すデータがない。CMFとUFTを比べること自体が問題であり、ヘルシンキ宣言U-3に違反している。
・患者への同意文書も、正しい情報を提供していない。
・UFTが無治療よりわずか0.5%高ければ、CMFと同等と考えるとされており、患者には受け入れることは出来ない。
 1997年12月に、国立がんセンターと厚生省に、この試験の中止を申し入れた。また、実施している他の施設の倫理委員会に「試験中止の要望書」を送付したが、何処からも返事は来ていない。
 国立がんセンターの医師と話し合いをした。説明同意文章の内容が不正確だという私たちの指摘に対して、医師たちは、説明同意文書を改訂すると明言したが、国立がんセンターから直接その改訂版をもらうことが出来ず、他所から入手した。内容を見ると、より患者を混乱させるものになっている。

GN・SAS-BC01の症例集積期間終了を機に質問状(渡辺亨医師宛、1999.11.20)(10)
 登録者数が大きく不足しているとか書かれたものを読んだ。
・登録者が足りないまま臨床試験を続行するのか、そうであれば試験の評価は出来ないと思う、又は、登録者を増やすために集積期間を延長するのか。
・試験が中止される場合、中間解析のデータを公開してほしい。
・中止になった場合、被験者へ中止の基準を説明することが重要だが、その説明をいつ、どのような形で行なうか教えてほしい。
・1300名の症例を集めることが出来なかった集積期間の終了を機に、患者が不利益を被る臨床試験は中止されるべきと考える。

その後、N・SAS-BC01臨床試験は、症例集積期間を4年半まで延長して続けられました。イデアフォーの活動は、試験を中止させることは出来ませんでしたが、試験結果を公表する論文(Journal of Clinical Oncology,2009.3.20)には、この試験の結果に及ぼしたイデアフォーの活動の影響の大きさが述べられています。

イデアフォーの活動を伝えた報道   (2)
 これまで述べてきたように、イデアフォーの発言は、厚労省、臨床試験の研究責任者、臨床試験の実施施設の倫理委員会に向けて行われました。それを広く社会が知ることになったのは、新聞等にイデアフォーの活動が報道されたからでした。
 新聞報道の内容は、イデアフォーが中止を求める要望書を関係機関に送ったことを知らせる記事、と『ランセット』にイデアフォー世話人のレター掲載されたことを知らせる記事に大まかに分けることが出来ると思います。前者は、N・SAS-BC01が「科学的根拠に基づき有効性が確立している治療法(CMF)と、効果のはっきりしない薬(UFT)を患者の体を使って調べる試験で、正当性がない」とするイデアフォーのコメントとともに、専門家からも、UFTの有効性について疑問が出ていることを紹介するものになっています。後者はそれから1年あまり経った時期のもので、患者が治療の根拠を求め自ら学ぶ時代が訪れたことを、好意的に伝えています。

N・SAS-BC01臨床試験の結果(JCO誌論文)
 この臨床試験は、「UFTグループのCMFに対する無再発生存(RFS)のハザード比の95%信頼区間(CL)がCMFとの関係で1.30を超えなければ、UFTはCMFに対し非劣性である」と考えるデザインで始められました。結果は「5年RFSはUFT群87.8%、CMF群88.0%で、UFT群のCMF群に対するRFSのハザード比は0.98(95%CI:0.66-1.45、P=0.92)」でした。この結果のevidenceの質について、「我々の臨床試験の限界は、UFTをCMFと比べた非劣性を疑いなく公表するために、統計学的なパワーがいまだ充分でなく、現時点で、我々は,UFTがCMFに劣る可能性を除外できない。」と論文は述べています。
 UFTの非劣性を証明するために、1300症例の登録が必要とされました。しかし、最終的に733例の登録しかえられず、分析対象は707例でした。そして、症例数が予定に達しなかった理由として、「登録開始後、一つのアドボカシーグループ(筆者注、イデアフォーと思われる)がCMFは確立されたスタンダードのレジメンであり、それゆえUFTと比較するべきでないので、この試験は終了すべきと主張しキャンペーンを行った。」それが「この試験に影響を及ぼし、登録が期待されたより少なくなった」ためと述べています。

N・SAS-BC01臨床試験の登録に与えたイデアフォーの活動の影響
 N・SAS-BC01臨床試験は、イデアフォーが反対活動を始める前の1年間にも、年間予定の半数の登録しか得られていません。では、イデアフォーの活動が登録数に影響を与えなかったのかといえば、そうとも言い切れません。登録者数の月別の推移を見ると、イデアフォーが反対活動を始めた1997年12月以降、登録数は減っているように見えます。(第5回東海 北陸乳癌会議「乳がん初期治療の基本的な考え方」渡辺亨氏作成スライド参照)
 
 以上、N・SAS-BC01臨床試験の中止を求めたイデアフォーの活動の実際とその影響について調べた結果を記しました。筆者はこの活動が行われた当時は世話人ではなく、したがって現在のイデアフォー世話人の立場で残された資料をもとにまとめたものです。
 
最後に
 N・SAS-BC01臨床試験は、国際的な標準に基づいて臨床試験を行える体制を、今後日本において整備しなければならないという時代背景の下に行なわれました。渡辺亨医師がイデアフォーに示した説明文に、そのためになされた研究者側の努力を知ることが出来ます。一方で、当時のイデアフォーも、このような時代の変化は、患者に臨床試験を正しく理解し参加することを要求するという考えから、臨床試験に詳しい講師を招いた講演会や、2回にわたる「臨床試験ワークショップ」を開催するなど、臨床試験について患者として学ぶ努力を重ねていました。両者が目指していたものにさほど大きな違いはなかったのではとさえ思えます。しかし、研究者とイデアフォーの溝は深く、理解しあうことが出来なかったのはなぜなのでしょうか?そのことを、今後も会員の皆さんと一緒に考えてゆきたいと思っています。
 

注1、資料のイデアフォーホームページへの掲載については、イデアフォー作成の文書に限られます。
  渡辺亨医師作成の説明文は、N・SAS-BC01臨床試験の時代背景を理解する上でも、臨床試験について理解するためにとても有意義なものでした。出来れば全文を公開したいと願いますが、それには渡辺医師の許可が必要と思っています。

Copyright (C) 1998-2017 ideafour All Rights Reserved.